悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
旧華族出身で、足を悪くされてからはコンシェルジュのいる静かな老人ホームで一人花を育てていらっしゃるおばあさまの紹介。
そうなればやっぱどこか旧貴族だとか、同じホームにいるどなたかのご子息とかじゃないの?
このペラペラのリクルートスーツに、後ろに結んだだけの無造作な長髪、小動物みたいに怯えた姿、全く着飾ろうとも良く見せようともしない基礎化粧のみの顔。
どこをどう見ても、一般人。平凡って言葉が似合うような学生だった。
「この子って、学生かなんか?」
「え、や、あの今年卒業してまして、21になります」
「21……」
幼さが残る顔は、化粧に不慣れというか、ファンデーションを塗っただけの簡素なもの。少しも美しく見せようとしていない形式だけの形。
鞄も靴も、リクルートスーツに合わせてるのか垢ぬけない冴えないデザイン。
もちろん、有名なブランドやメーカーではない。
「……貴方達が入社してきた時、地味ながらもしっかりしたブランドスーツだったし、足元から抜かりなかったのにね」
「え、英田さんっ」