悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
栄子おばあさまに心配かけないように、必死で良い所を探したが、出てこない。
よく考えたら最初から嫌い過ぎて、森元さんのことは知ろうともしていなかった。
「ふふ。貴方なら絶対そう言うと思ったわ。でも良い子なのよ。ガーデニング初心者の私に、手取り足とり、――実習が終わってもその後の様子を聞いてくれたり。本当に心は優しい子よ」
にこにこと笑いながらそう言う。
それが今は何故か辛かった。
いや、理由はとうに分かっていた。
「私は――」
言いかけると、コンシェルジュがホットココアとサンドイッチを持って来てくれて、二人で食べた。
お皿を覗くと、有名四つ星レストランのサンドイッチで驚いた。
「で、私は?」
口紅を落とさないようにと、小さくちぎってサンドイッチを食べる姿に、私の背筋がピンと伸びた。
「私は、栄子おばあさまを尊敬しています。可憐で上品で慎ましやかで、それでいて大輪のような存在感で」