悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?

「あら、やだわ。恥ずかしい。そんな事ないのよ」

「テストで巧に一度も順位を勝てたことなくで、がっちがちになってたり、ピアノや書道、おまけにスポーツまで巧に勝てなくて悔しかった時とかに、栄子おばあさまがこうやってジュースとケーキを用意して下さってたのが本当に嬉しかった。肩の力を、栄子おばあさまの前では抜いてもいいんだなって」

「そうそう。でも抜いたことないのよ。綺麗に、零さないようにケーキを食べることに集中してたわ。貴方っていっつも何か自分にルールを作ってるようで心配してたのよ」

キースと全く同じことを言われて、思わず笑ってしまった。
その乾いた笑いに気付き、おばあさまは心配げに顔を覗きこむ。

「私みたいに自分の評価優先みたいな可愛くない子より、馬鹿でも愛嬌ある子のほうが、巧の婚約者だと嬉しいですか?」

震えてしまった声に、おばあさまが面食らうのが分かる。

「ちょっと待ってちょうだい。どうしてそんな質問をするの?」
「……社長と副社長が、オーストラリア支社へ移る私より、栄子おばあさまの進めている森元さんの方が巧に良いってはっきり言われた。栄子おばあさまもそう思っているって」


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