悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?

拍子抜けというか、がっかりというか。
こんな子の為に私達が総出で挨拶に来たの?

「室長、もう副社長の来月のスケジュールは起こしてるから、社長の方は貴方が確認してね」

特に感想も無いまま帰ろうとすると、巧は小さく溜息を吐いた。

「こちら、森元さなえさん。研修後の希望配属先は俺達の秘書室だそうだ。指導頼むよ」

「秘書室!?」

思わず裏返った声が出る。私の部下たちの見目も能力も買っているけれど、はっきり言ってこの子がそんな能力のある子には見えない。
コンビニでバイトしてると言われても納得してしまいそうだ。


「えっと。副社長第一秘書をしています英田と申します」

「英田って、もしやこの会社の?」
「はい。父の会社です。で、森元さんは何カ国語喋られるの?」

「何カ国語……?」
「うちは海外と取引したりするの。ご存知よね?」

すると、さっと顔を青ざめさせて助けを求めるように巧の方を見上げる。
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