悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


「また、すぐ熱くなる」

涼しい顔して、意外と勝負には燃えるタイプなのも一緒みたいだ。

「勝ったらどうします? もちろん志野が欲しいは無理ですよ。志野はモノじゃないし――俺のなんで」

「ばっ」

なんでそんな事を言うの!
庶務課の二人が羨ましそうに私を睨むし、森元さんは涙目だし。
立花さん達は淡々と拍手してるだけだし。
……カオスすぎる。

「そうですね。じゃあ私が勝ったら、オーストラリアでの仕事の際、此方側に来てもらおうかな」

「志野を引き抜くってこと?」

巧の目がすうっと細められる。明らかに不穏な空気だ。
なのにキースはにっこりとほほ笑む。

「君達が一緒に居た年数を誇るのならば、私は濃くて濃密な時間を提示しようかなって」

他のお客から口笛で囃したてられる。

「負けないから問題ないですがね」

「私が負けた時の賭けはどうしましょうか?」


「俺の婚約者を口説かないってことですかね」


二人の勝手な勝負に、私は呆れて眺めるだけが精一杯だった。
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