悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
はい、がいいのか、うん、と甘えるべきなのか。
私の恋愛レベルは未熟で、ルールが分からない。
だから背中を抱きしめながら、こくんと頷くのが精一杯だった。
「あれ、巧さんがこんな時間にうちに来るの珍しいね」
玄関で慌てて手を離したら、今から出かけようとしている妹に遭遇した。
「今から出かけるの?」
「うん。お母さん達が食事に出かけたから今のうち」
ショートカットの髪を明るく染めて、ショーパンに胸の大きく開いたカットソーを着て、大胆で派手な服装の真野は、にやりと笑う。
「お父さんとお母さんが、一応お姉ちゃんにも連絡したのに返事ないって言ってたよ。だから二人もデートかと思ってたのに」
「ああ、携帯繋がんなかったのかも」
「デートなのは間違いないからいいじゃないか」
にやりと巧が笑うので、足を踏んでやった。
「てな訳で、お母さん達もそろそろ帰ってくるかもよ。じゃあね」
「ちょっと、真野、あんたは」
来年から就職活動始める予定の大学生の癖に、自由すぎる。
私とは違って会社に興味が無いらしく、卒業後は無難なOLをするらしい。
私達が期待されてる分、期待がない妹は自由だ。