悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
「室長、社長の出勤です」
秘書室で待機していた一人から内線が届いたらしく、巧に報告が回るとこれ以上の話は有耶無耶になった。
「すぐ行く。今日は予定開けとけ」
「……分かりました」
釈然としないものの、仕事モードに切り替えるしか無い。
背中を思いっきり睨みつけてから、大きく息を吸い込んだ。
「立花さん、私達も副社長のスケジュール詰めましょう」
「はい。……でも大丈夫ですか?」
不安げな立花さんが言いにくそうに私の顔色を伺う。
「何?」
「その、タイミングが良すぎると言いますか。室長に栄子さまの紹介者の指導役、英田さんにご友人の担当なんて」
「そう? ……仕事だから仕方ないんじゃないの?」
そう思いつつも、うちの親同士ならばありえそうだとも思えた。
秘書室の隣が社長室でさらに隣が副社長室だ。私と立花さんが待っていると、社長と巧、副社長がエレベーターを降りて出勤してきた。
「おはようございます」