悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
仕事中はお互い一本も乱れない髪。
今は、優しく押し倒されてシーツの海の上で畝っている。
巧の前髪が置いてくると、幼く感じて可愛いと思っていたのに、今は違う。
見上げた巧の、前髪から見える素顔に心も身体も奪われていく。
足を撫でられ、上がっていく指先に、ピリピリと火傷のように甘い刺激を受けながら、彼の香りに包まれた。
怖い。
そう思ったのはたった数秒。
指先を絡めて、大きく動いたら、一粒涙が零れた。
ベッドの横に飾った薔薇が、二人の上にハラハラ、ヒラヒラ落ちてくる。
白いシーツの上に、綺麗に降って色を付ける。
汗で濡れた肌に張り付いた薔薇の花びらを、巧が歯で剥がして私を強い眼差しで見下ろす。
巧に触れられた身体が、輪郭を作って行く。
巧に変えられていく。暴かれていく。全て、隠さずに。
それで良いと、私も巧の背中を強く強く抱きしめた。