悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


強そうなお姫様。
凛としてるとか、背筋がまっすぐとか、強気とか、今の巧ならばもっとちゃんとした言葉をくれるだろうか。

それでも、私は嬉しかった。

理想は、還暦でも深紅のバラが似合う栄子おばあさまみたいな高貴さをもった人。

でも隣で寄り添うのは、あの日私をお姫様だと言った貴方だけ。


「起きたか?」

ぱちりと音を立てそうなほど、はっきり開いたのは、巧に顔を覗かれた時だった。

いっつも揺すっても乗っても、叩いても起きない巧が、先に起きて珈琲を飲んでいる。
しかもシャワーを浴びたのか、腰にタオルを巻いただけの、朝から色気で殺しにかかっているような姿。


「何してんの?」
「寝顔見てたら、『巧……好き』とか言うから」

「言ってない!」

馬鹿じゃないの!
慌てて枕を振り回すと、巧がケタケタと少年のように笑った。
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