悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
「キースなら幸せそうな私に喜んでくれるかなって」
「……本当。君には敵いませんね」
苦笑しているキースの後ろで、荷物を運んでいく部下の姿を見えた。
「私、きっとキースと結ばれても幸せになれたと思う。貴方って紳士だし優しいし、包容力もあるし」
「そうです。今からでも遅くないですよ」
「でも、そんなキースより巧を選んだんだから絶対に後悔しないように全力で幸せになろうって決めたんだ」
ありがとうと、キースに言うとため息を吐かれた。
「後悔してください。もっと良い男になりますんで。で、仕事で顔を合わせているうちに私の良さに気付いても、もう手遅れですからね」
「そっか。向こうでまた仕事でいっぱい会うもんね。巧と一緒だけど」
クスクスと笑うと、キースも楽しみですと笑ってくれた。
なので暫くの間、昨日の薔薇の花束の話を立花さんと話した。
「私なら、会社の一階全てを花で埋め尽くしますけどね」
「でもね、キース。私は量じゃないよ。朝の本の僅かな時間で998本揃えてくれる巧のスマートな所が嬉しかったもの」
良く見れば、品種の違う薔薇も交じっていたから、本当にがむしゃらに千本集めてくれたんだと思う。