悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?

「披露宴というか、こっちでホテルでのお食事会はしようとは思うけど、大人数だし。色々取引先の人とか呼ぶのは大変だから、二人で向こうで挙げてくるよ」

パンフレットを栄子おばあさまに渡すと、メガネをかけて食い入るように見た。
今日のおばあさまの着物は、私が初めて見た還暦の日に見た深紅の薔薇が描かれたあの着物だった。

「……素敵ねえ」

「お、おばあさま!?」

ほろりと涙を零した栄子おばあさまに慌ててハンカチを差し出すと、嬉しそうに笑ってくれた。

「私の送った指輪は海外まで連れて行ってもらえるのね、って思ったら嬉しくて」「おばあさま」

「ほら、私、足が悪いでしょ? それにおじいさんも海外旅行なんて行きたがる人じゃ無かったから、だから私の代わりに指輪が行ってくれるのねッて」

「……行けばいいだろ」



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