悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
私と栄子おばあさまの会話に、突如赤ワインが入ったグラスを三つ、お盆に乗せた巧が乱入してくる。
「あのね、おばあさまは足が」
「そんなの、俺が車いすで押してやるし。行きたかったって後悔してるぐらいなら一緒に行こう。塞ぎ込む年齢でもねえだろ」
「だからあ」
「あら、いいの?」
その瞬間、おばあさまはコロッと泣きやんで言質を取ったと言わんばかりに、うちの父や巧の父を見た。
「行っていいのかしら」
ニコニコした笑顔で笑うおばあさまは、拒否すれば先ほどみたいにめそめそ泣くのが目に見えていた。
「私の古い友人がね、ハワイでホテルを経営していて、プライベートビーチを持ってるって言ってたのよ。そこを使ってウエディングドレスの撮影も楽しそうよね」
「……」
しっかりと用意周到に調べ上げているおばあさまに、勿論誰も反対できずハラハラと時は過ぎるのであった。