悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
『巧が社長になるまで待ってるなら、まだ社長も元気だし引退しても30歳届かない巧が社長にはならないよ。さっさと結婚して、仕事が忙しくなるまえに可愛い孫を産んでほしい』
なあんて、セクハラギリギリの発言をされて、仕事中でなかったらおじさんを怒鳴ってしまう所だった。
つまり、キースが私を指名したのを、絶好の機会だと思ったんだろう。
私が無理なら、栄子おばあさまのお気に入りのあの平凡でどうでもいいが若い子と結婚させてしまおうと。
「そりゃあキースは英国貴族の公爵の末裔だし。巧は比べ物にならないぐらい上流階級の人だけど、私みたいな一般人が相手に見染められるわけないっていうか」
「なるほど、じゃあお前は世が世なら、キースと結婚したらシンデレラなわけだな」
私が握っていたグラスの中のワインが、沸騰した私の血液みたいに真っ赤だ。