悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
「ハワイで挙式って流石お二人ですよね。お似合いです」
「森元さんならお土産は定番のマカデミアナッツチョコレートで終わりだろうけど、流石英田秘書です。このネイルもハワイ限定品!こっちのコスメポーチもハワイ限定。しかもこのワインも!此方のハンドジェルも!」
「ひ、酷いです! しかも立花さんには大人っぽいお土産ばっかりなのに、私にはパンケーキミックスとかぬいぐるみとか」
「あら、要らないならいいの。ごめんね。趣味が悪くて」
「頂きますけど!」
立花さんが大興奮で渡したお土産を見ている。森元さんの指導を一緒にしてくれる内に、にこにこと優しかった立花さんも、この人にははっきり言わないと分からないと理解したらしくズバズバ言うようになっていた。
「あとは今週中には書類とか提出して、色んな旧姓名義を変えないといけない」
「新居はどちらにされるんですか?」
「会社近くに巧のマンションがあるから、そっちに荷物は移してるの。忙しいから片付いてなくて、二人でうちの家に帰ってるけど」
挙式から帰ってからの方が大忙しだった。
それでも辞令が下りるまで一カ月も無いから急がないといけない。
「不安です。英田秘書がいなくなって森元さんの指導が私に回ってきてしまったら」
「それは分かるけど、雑用なら上手くできるようになってきたし、ね」
「ひ、酷いですってば」
「志野」