悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?

キースにライバル心でも持ってるのだろうか。
……取引先の人にまでライバル心を持つなんて。

会社じゃ誰も知らないだろうけど、こんな風に巧は強かで負けず嫌いだ。

目元を滲ませて甘く笑う姿や、部下を叱らず優しく注意しカバーしてあげている姿しか会社では見せないけど、本当は冷静な顔で頭の中は電卓叩いてるような腹黒な男。
私だってずっと一緒に居るのに切れたところを見たことがない。

「スケジュール管理はもうとっくに俺じゃなくて第二秘書の滝崎に任していくから仕事が減る」
「良かったね。これで私のベッドに潜り込む回数が減るのかな?」
ワインが空になった自分のグラスを眺めていた巧が、私の問いに視線を向ける。

「減らすわけない。逆にこれから増やしていく」
「は?」
「だから、お前も外国の王子様にフラフラすんなよ」

射抜くような視線の意図が分からず、呆然とする。
すると巧の大きな手が伸びてきて私の飲みかけのグラスを奪うと、一気に飲み干す。

「今の、どう解釈していいの?」
「今のお前じゃ分からないから言った」

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