悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
鞄から取り出すと、青く点滅している。
これはパソコンメールの方だ。
「あ」
その一瞬の不意を突かれて、颯爽とレジでカードを出す巧の後ろ姿が見えた。
私のあしらい方がどんどん上手くなっている。
払った後は何が何でも涼しい顔で、半分払うと言っても受け取ってくれないんだから。
「あー! 悔しい。次はもう私だから。私じゃなきゃ飲みに行かないからね」
「俺がワインを水代わりにどんどん飲んでるんだから気にすんなって」
笑いながらタクシーを片手で止めると私に促した。
「……ありがとう。ごちそうさまです」
何を言っても口で勝てないと諦めた私が素直にお礼を言うと、満足そうに笑う。
「その言いたくないけど礼儀はしっかりしたいっていうお前の表情が見たいんだよ」
「性格悪い」
「おかしいな。会社ではそんな事言われたことないのに」