悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
私の態度に半ば面倒くさそうな雰囲気を出すと、エレベーターまでわざわざエスコートしてドアまで開けてくれた。
「志野、慣れるまであの子に近づかないでやってくれ」
「何でよ」
「オフィスの高値の花のお前があの子に冷たくすると、他の社員も釣られてしまうだろ」
「そんな性格の悪い人間がこの会社に居るの?」
「いいから。俺に任せとけって」
押し切れれるように吐き捨てると、そのままエレベーターを閉められてしまった。
巧の愛想笑いだと分かっているのに、それでも愛想笑いでさえもあの子に微笑んでいると思ったら、正直面白くなかった。
私の前で見せる、意地悪な顔。
それは私だけの特別な表情だとは分かっている。
でも、それって、巧は別に私には好感度を上げる必要が無いって言っているみたい。
それって、私に女として意識していない証拠みたい。
それだったら、愛想笑いして面倒をみる彼女の方が意識されている。
そう思うと、面白くない。