悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
出張先へ向かう竜崎からの質問は長いのか、ずっと話中のランプが付いている。
その間、あの新人は一人で待ってるのだろうか。
暇なら電話の取り方ぐらい教えてみよう。そう思ってランプが付いている、総務部の方へ向かった。
「立花さん、この資料纏め終わったから三部ずつコピー頼んでも良い?」
「はい。わかりました」
別に巧のフォローに向かうんじゃない。たまたま総務部に仕事で話があったから。
それだけ。
なのに、総務部へ向かう途中で、会議室の中から弱弱しい声が聞こえて来た。
「は、はろー、ジャパニーズ、プリーズ」
「……貴方何してるの?」
「副室長さん!」
森元さんは私の顔を見た瞬間、思いっきり持っていた受話器を置いた。
「誰と電話してたの?」
「あっ切っちゃいました!」
「誰と電話をしてたのって聞いてるの」
すると、途端にうろたえて出口の方を見る。
「巧さんが出て行かれて忙しそうだったので、代わりに私が」
「馬鹿じゃないの!」
彼女から受話器を奪うと、すぐにリダイヤルする。
巧へ電話が来たと言うことは、社長がらみの内容のはずだ。
「も、申し訳ございませんっわ、私」
「静かにして」