悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?

国際電話は秘書室に直接来るようになっている。
なので、国外の仕事の話ではないと思うけれど、幸いなことに電話を取ってくれたのは総務部の高崎部長だった。

彼女を一人置き去りにし、私も総務へと向かった。
まだ巧は電話の相手をしていて、ちょうどディスクの部長が居るのが見えた。

ダンディなおじさまで、女性からも信頼が厚く、私も会話のテンポがいいのでこの人を尊敬していた。

「申し訳ありません。電話を切ってしまって相手にお詫びしたいのですが」
「あ、ああ、切っちゃったの。ノースフィールド社のタウンゼントさんだよ。日本に来ているから挨拶したいって」

「……キースだ」
へなへなと身体から力が抜ける。

重要な取引先なのには間違いないが、キースなら私でもフォローできる。
そういえば、昨日メールを受信していてまだ見ていなかった。
でも私が担当なのだから、巧に連絡してくるのはおかしい。

「ありがとうございます。お電話お借りしま」
「志野」
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