悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?

入り口を見ると、ポロポロと泣いている森元さんが立っていた。
前で手を合わせて震えているのが分かる。

「指示を待たずに勝手なことをするのは、社会人にとって非常識で呆れるわ」

私の発言に、総務部がしんと静まり返った。
けれど、二度と勝手なことをされないように、私はここで注意しなければいけない。

「貴方はこの会社に入ってまだ二日。素人同然の貴方の判断で行動することは絶対に許されない。そんなんじゃ、指導してくれる人も居なくなるから」

「はい。本当に申し訳ありませんでした」

「……後は室長に任せる。室長の指導にも問題があるなんて、言われないようにしてよね」
前でスカートを握り締めた手に、大粒の涙が落ちていく。

それを尻目に私は無言で廊下へと出て行った。
あとはどうせ、優しい巧が上手くフォローしてくれるだろう。
そう信頼をしていたから。
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