悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
そんな事を考えながら歩いていると、立花さんが慌ただしく戻ってきた。
血相を変えてはいないから、深刻ではないと思う。
「どうしたの?」
「副社長が、午後の会議に英田さんは出なくて良いって」
「はあ!? なんで今さら? 今から誰に代打を頼むのよ」
突然の出来事に面食らう。そんな直前に無理をいうような副社長ではないのに。
「私がします。資料も今から読ませていただきます。でも英田さんは……」
「私は何?」
言いにくそうに、小声で周りから聞こえないよう言う。
「午後に来られるキースさんを接待してほしいって」
「キース!?」
秘書室に戻ってからゆっくり折り返しの電話をしようと思っていた。
昨晩のメールにもまだ目を通していなかったし。
「先ほどの連絡でも上手く意思が通じなかったので、今すぐ会いたいと」