悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
「それ、本命の人に言ってあげなってば。キースなら、その人もきっと好きになっちゃうんじゃないかな」
タクシーに乗り込みながら、苦笑してしまう。
「プライベートでもまた会おうね。次はダーツ負けないから」
ひらひらと手を振って、遠ざかるキースが見えなくなるまで手を振った。
そして正面を向いて、大きく息を吸い込んで吐きだす。
キースと居ると、普段されていない女の子扱いのせいか、油断したら恥ずかしくって照れてしまいそうだった。
でも。
今頃巧は、自分の親に私との仲を突かれていると思う。
明日、目がった時に逸らされたらきっとこれで終わり。
巧は私と結婚する気はないんじゃないかな。
そんな雰囲気を出されたら、きっと恋愛経験が無い私でも分かると思う。
チカチカとランプが光り、スマホにメールが受信された。
『なんでまだ帰ってないの? 俺の方が早いんだけど』
(……巧、うちに来てるの?)
社長の飲み会や仕事で残業した時しか来ないくせに。
しかも私は一杯も飲まずに帰宅している。
こんな時間に先に巧が帰ってるなんておかしい。