悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
結婚がしたい。
そんなぼんやりした目的で、私はこの関係をぼやいてるのではなかった。
駅から改札口を通り、すぐに見えてくるのは私が働く英田商事。ヨーロッパや最近はアジア進出も果たし、取引をしている中堅会社。
私の父親と巧の父親が共同で経営している会社。うちの会社を拡大するときに巧の会社が合併した形なのだけど、その時幼い私たちは『将来二人で会社を継ぐんだよ』と周りから言われてきた。
私もそれを当り前だと感じ、理想の自分を常にイメージして生きてきた。
結婚したいというぼんやりした目的ではなく、この人と結婚するんだろうなって思って生きてきたんだ。
なのに、どうして巧は何も言ってくれないんだろうか。
「おはようございます」
受付や警備員に頬笑みながら、私はきっちりまとめた髪で一ミリも乱れることなく完璧な笑みを浮かべながらエレベーターへ乗り込む。
何人もと笑顔で挨拶を交わすと、秘書室へと向かった。
「おはようございます。英田さん」
「おはよう。お花も飾ってくれてありがとう」