ストーカー気質からの脱却を試みる
浮気定義ってよくわからない
そう、浮気はしない。
この時点ではまだ"てきとうな彼"が存在していたのだった。
そしてそいつがなかなかの手強い相手だったのだ。
「最近なにかあった?」
「なんで?」
「なんか冷たい」
「いやべつに」
「好きなやつできたとか?」
「いやべつに」
「電話しても出ない」
「仕事か寝てるだけだよ」
最近妙に疑り深くなってきたなこいつ。
「俺は絶対に離れないよ」
「…」
「絶対に嫌いになるなんてこともない」
「…」
最初は面倒なだけだったけど、だんだんと怖くなってきた。
「ヒロちゃん、別れようっていったら刺されそうなんだけど」
「弄んできたツケだな」
「助けてくれ」
新潟の彼の存在を関係なしに、まずはこの"てきとうな彼"をどうにかしたかった。