私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「帰るとこあるとか妹と喧嘩とか、嘘だよね」
「うっ…」
嘘じゃないっていわなきゃ困らせるって分かってるのに…
王子が心をみすかすような目をしてそんなこと言うから、嘘つけなかった。
なんだか王子と話してるんだなぁという実感に襲われて、こんな時なのに胸が小さく跳ねる。
言葉が喉でつまる。
こ、こんな時に何ドキドキしてるの私!
誤解だっていわなきゃ。
「違うんです!」
「何が?」
即答。
ハラハラしている私とは裏腹に、
王子の瞳はどこまでもクールだ。
なんだか、蛇にいすくめられてるみたいだ。
上手く、
嘘がつけない。