私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


王子が、本日二回目の、深いため息をついた。

そのため息をつかせたのは私。

どうせどうにもならないことなんだから、

王子だって騙されたふりをしてくれればいいのに…


こんなんじゃ、お互いに後味わるい。


そんな事を思って、悪くもない王子を心の中で責め立てる。




「…泣いてる」



へ?



王子に柔らかい声でそんなことを言われて、

自分が泣いているんだということに気づく。


頬をつたう冷たいそれは、涙でしかない。


あぁもう、何泣いてるの私…


泣いてしまったことが悔しくて、

もっと涙があふれてくる。



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