私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「葉月、顔が茹でだこみたいになってる。もしかして照れてる?」
「て、照れてないです!」
余裕そうにそんなことを言って私の図星をつく王子に、悔しいけどドキドキしてしまう。
ううう……照れたくなんかないのに!
ドキドキなんかしたくないのに!
「海里先輩は、どうしていつもそうやって人をからかうんですかっ」
王子とってはそれが本心でも、
私はいちいち過剰反応してしまうし、からかわれているようにしか感じない。
「別に、からかってないよ。葉月が勝手に一喜一憂してるだけじゃない?」
「…………。」
そんな事を言う王子に、返す言葉を失ってしまう。
確かに、王子の言葉で勝手に一喜一憂してるのは私のほうなんだけど…
それに、王子の言葉で私が一喜一憂してるって何。
そんなのまるで、私が王子に────
ふと、頭に浮かぶ単語。
それをふりはらうように首をぶんぶんっと横にふった。
こ、恋なんて。
なに一瞬でも馬鹿なことかんがえたの私!