私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
私には兄弟がいなかったから、
まるで本当の兄のように私に優しく接してくれる、優しくて頼りになる渚さんが大好きだった。
まるで私にお兄さんができたみたいで、ずっと嬉しかった。
でも、その日の渚さんの様子はなんだかいつもと違って。
いつも優しく穏やかに澄んでいる目が、
その日はなんだか違って見えた。
急に無口になってしまった渚さんに、
ものすごく戸惑った。
今日は体調が優れないのかな……?
いつもと様子が違う渚さんに、私はそんな事を思った。
──でも違った。