私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
震える声でお礼を言うのが精一杯だった私。
そんな私の頭を、いきなり類がぽかっと叩いた。
「……!?」
この流れでいきなりそのスキンシップは何だ。
いつもの調子で食い付いてしまいそうになり、顔をあげる。
「ちょっと類!なにす…」
何するのよ。
そういいかけた言葉は類の顔を見て
喉の奥でとどまった。
類が、あまりにも切なげな表情をして私をみていたから。
類がそんな表情をするから、調子がくるってしまう。
ただでさえ、なんだか優しすぎる類に戸惑っていいるというのに。
な、なんで?
いつも私にちょっかいかけるときは、
苛つくほどに意地悪な顔をしてるのに。
なんでそんな顔して私を見るの?