私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
混乱する私に、類が続ける。
「こんな事、絶対言うつもりなかったんだけどな。
葉月が俺の事をそういう目で見てないことくらい分かってたし、言ったら葉月を困らせるってことくらい分かってたから。
一緒の職場で働いてる以上、葉月に気まずい思いさせたくなくて黙ってた。
でも」
「………………!」
あっと気がついた時には私はもう一度類に抱き締められていて。
でもさっきとはまるで意味の違う抱擁に、
緊張して…一瞬だけ息が止まる。
そして……類の腕の中でただただ固まる私の耳元で、類が囁く。
「お前がもう戻ってこないなら………もう、
どれだけ気まずくなろうが構わないよな」