私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
耳元でそんな事を言われて、
ついドキッとしてしまう。
「る、類…?」
類を男として見たことなんて今まで一度もなかった。
それに、類が私にそんな気持ちを持っていたなんて全く気づかなかなった。
まだ頭の整理ができなくて、類の言葉についていけない私に、類がもっと混乱させることを言う。
「いくら待ってもお前が連絡よこさねーから、葉月から連絡くれるまで待つつもりだったけど、我慢できなくて電話した。
出ていったお前を黙って放っておけるほど
俺は、
お前を中途半端に好きだったんじゃない」
そういって、私を抱き締めていた腕を離す類。
私を見つめる類は、男の顔をしていた。
初めてみる類のそんな顔に、胸がそわそわして……
こんな複雑な気持ちは初めてだ。