私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


そうしている間に、やっと家に到着した。

玄関の前まできて、王子が部屋の鍵を開けるために私と繋いでいた手をはなす。

離された瞬間に、なんだかとても寂しい気持ちになったのは……きっと気のせい。


ガチャっと王子がドアをあけて、

ただいま、と小さく呟いて家に入る。


「家も外も寒いですね」

「……うん」


そう答える王子の声は、やっぱりまだどこか不機嫌だった。

まあ私が悪かったんだししょうがない。


「あの……寒い思いさせちゃって、ごめんなさい」


そういって王子に謝った時だった。

なんだか一瞬にして王子の目の色が変わった気がして……びっくりする。

なんというか、彼をまとう冷徹な雰囲気がいきなり濃くなったというか。


王子……こわいです。


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