私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「ねぇ葉月、すごいよ、このキノコってもしかして松茸?」
「違います。しいたけです」
なのに、そんな視線に一向に気づく気配のない王子。
なんだか、苛々する。
これだけスーパーの子供から主婦までの視線を集めているのに気がつかない王子に。
……ううん違う。
王子を見て頬を赤らめる女の人達に?
「い、苛々します」
「え…?」
気がつけばそんな気持ちを声に出していた。
ぽかんとした顔をする王子。
苛々します、なんて。
違う。ほんとはわかってるの。
こういうのって苛々してるっていわない……
焼きもちやいてるって言うんじゃない?
自分で気づいておきながら、固まる私。
え、私、やきもちをやいてたの……?
自分の気持ちがよくわからないなんて、
よくわからないと思ってた。
でも……私今、自分の気持ちがよくわからないない。