私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


私の異変に気がついたのか、王子が急いで私の手から鞄をとる。

「いや、大丈夫です。持てますから……」

「いいから」


そういって、私を近くの椅子へと移動させた。

「座って」

「はい…」


言われたとおりにイスに腰かけると、気分がだいぶ楽になった。

そういえば、今日は朝起きてからずっと寒気がしてて、体調がおかしかった。

家を出るときにはおさまっていたから油断してたけど、まさかこんなにきつくなるなんて。


「葉月、ちょっとここでまってて」


ぐったりとする私に、王子が申し訳なさそうにそういって、買い物カートを持って、急いでレジに走った。

ものの三分くらいで会計をすませ、急いで私の私の所へ戻ってくる。


「すみません、いきなりこんな……。私、家政婦なのに……。」

せっかくの買い物なのに、
それに私、雇ってもらってる家政婦なのに……

申し訳なくて、自分が情けなくて泣きそうになる。

そんな私に、王子が安心させるように優しく微笑む。

その笑顔に、何故か心臓が小さく跳ねた。
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