私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「葉月は病人なんだから、そんなこと心配しなくていい」
そう言って私の頭をポンポンと撫でる王子。
それがなんだか恥ずかしいのに嬉しくて、
王子の笑顔があまりにも優しくて……
胸がいっぱいいっぱいになって、
ドキドキして。
顔があつくなった。
いつもなら私の顔が赤くなるとすぐにそれを指摘する王子だけど、今日は何もいわない。
熱のせいって、おもってるのかな。
王子のせいですなんていえないよ。
「ん。あと、いいものもらってきた」
そういって王子が買い物袋から何かを取り出す。
それは、氷が入ったビニール袋だった。
そういえば、レジで氷をくださいっていえば、貰えるんだったっけ……
「はい、これで冷やしてて」
「はい……って、ひゃあっ」
氷を受け取ろうとした私の手をすりぬけて、 王子が私の額にそれをいきなりつけるものだから、冷たくてびっくりしてしまう。
何するんですか!なんて言う元気は今の私にはなかった。
「あの、海里先輩……家に、帰りたいです」
「わかった。まだ休まなくて大丈夫?」
「大丈夫です」