私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
そのまま、二人でスーパーを出て、
家まで歩いて帰る。
公園に迎えにきてもらった時とは違って、
私を気遣って歩幅をあわせてゆっくりと歩いてくれる王子を、かっこいいなと思った。
そういうのって、ほんとずるい。
いつもあんなに抜けているのに、
いつもあんなに鈍感なのに、
今日の王子はいつもの王子じゃないみたいだった。
そんな場合じゃないのに、かっこいいな、なんていちいちキュンとしてしまう自分がいて。
ほんと、くやしいんだから。
「王子って、こういう時とかの対応、すごく上手なんですね。ありがとうございます、助かりました」
「え、…王子?」
し、しまった。
熱のせいで余計な事まで口走ってしまう。
何言っちゃってるんだ私……
「海里先輩!つ、つきました、よ!」
「え?あぁ、ほんとだ」
そんな事を言って慌ててその場をごまかす。
でも、ほんとに王子の家とスーパーは近い。歩いていける距離にスーパーがあるなんてかなりいいところに王子は住んでいるなぁなんて思う。
昼間でもまだまだ寒い冬の外はなかなかつらいもので、それに今はこんな状態だから、そのことにとても感謝した。