私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


「あぁ……冷酷王子とか出会ったときにも言ってたよね」

心なしか悲しそうな顔になる王子。

───違う。


王子が冷酷王子なんかじゃないことくらい、私がいちばんわかってるもん。


「冷酷なんかじゃないってこと、今ではちゃんと分かってます。 冷酷だったら、私なんかのこと拾ってくれたりしません。
こうやって看病してくれたりしません」


そういって微笑むと、王子が少し照れたように顔を伏せた。


「葉月って、ほんと馬鹿だよね」


そう小さく呟く王子。

馬鹿!?な、なんだと。


馬鹿じゃないです。

そう否定しようとするけれど、そんな言葉は王子の一言で撃沈された。


「俺は冷酷だよ?

葉月の事が気に入ったから拾っただけで、
あの日出会ったのが葉月じゃなかったら家政婦なんて頼んでなかった」



な、な、な……なな、なんてこというの!?

王子のその言葉にみるみる真っ赤になっていく私。

なにそれ、それじゃあまるで私が特別みたいに聞こえちゃうよ。

なんでそんなに人の気も知らないで、
勘違いさせるようなことさらっといっちゃうのかなぁ。

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