私の王子様は、冷酷なんかじゃありません

かぶっていた毛布をかきあつめ、

足をばたつかせる。


恥ずかしさにまた泣いてしまいそうになった時。

ばたつかせた足が何かにあたって、小さな物音をたてた。


「あ、起きた?」



来た ───!



キッチンの方から声がかかり、

足音が近づいてくる。


それが扉の前でとまり、

開けるよ、という声とともに部屋の扉をあけて王子が入ってきた。


「………!」



王子の顔がみれなくて、私は毛布の中からでられなかった。

お礼いわなきゃいけないのに…

< 21 / 300 >

この作品をシェア

pagetop