私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


なんだかいたたまれなくなって思わずうつむいたその時、車が止まった。


「おい、ついたぞ」

「へっ……?」


気づけば、いつのまにかマンションの前についていたようだ。

とりあえず顔をあげ、シートベルトを外す。


「……送ってくれてありがとう」


「どういたしまして」


そう言う類の顔は私の方を向いていなかった。

それが何だか悔しくて、悲しかった。


「じゃあ、行くね」


そう言って、類の車を出た。







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