私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
あなたの側にいたくて
車から出て、マンションのエレベーターで部屋の前まで着く。
鍵をつかって部屋を開けようとして……
一旦とどまる。
買い物に行ってきますって手紙に書いていたんだっけ……
それなのに、この完全なる手ぶら状態って、どうなんだろう。
「しかも、もうこんな時間だし」
きっかり12時を指す腕時計を見て、はぁーっとため息をつく。
王子、心配してるかな?
いや、それを通り越して怒ってそうだなぁ……。
そんな事を思って憂鬱になりながら、ドアの鍵穴に鍵をさそうとしたその時。
ものすごい足音が近づいてくるのが分かった。
えっ?と思ったときには、ドアにのばしていた手を捕まれていた。
「……今までどこ行ってたの」
そこには、鬼のような形相をした王子の顔があった。
走ってきたからだろう。王子の息が少し上がっていて…
私の腕を掴む力が痛いほどに強くて。