私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「か、買い物に……」
「へぇ、何買ったの?」
そう言って意地悪そうな笑みを浮かべる王子。
うぅ……心配していたことが現実に…
確かに、買い物に行っていたなんて言い訳はきつすぎた。
だって手ぶらなんだもん。
早朝から家を出て12時になって帰って来て手ぶら……しまった何か買っておいた方がまだましだった。
「ほんと、びっくりした。朝起きたら葉月いなくなってるし。電話は繋がらないし。どれだけ探したと思ってんの。
もしかしたらって帰ってきたら、ちょうど葉月いるし」
「ええっ、手紙……置き手紙してたんですけど、見てなかったんですか?」
「……え、手紙?」
きょとんとする王子。
どうやら置き手紙の存在に気がついてなかったらしい。