私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
そんな言い合いをしながら、しれっと王子から五メートル離れる私。
ふぅ、ドキドキしすぎて死ぬところだった。
「わ、私昼食の仕度をしますね……!」
そう言って急いでキッチンに逃げた。
もう時間もないし、今日はもうラーメンでいいや!
そう思って、急いで準備をして、早速麺を茹で始める。
うぅ……料理に集中して忘れてしまおう、さっき抱きしめられた事なんか忘れてしまおう……!
「きっと王子にとってはなんてことない事なんだし……」
あれ、自分で言っておいてなんだか悲しくなってきた。
……まあ、王子の考えてることなんて理解できるとも思えないけど、あの行為に深い意味なんてないってことくらいは分かる。
私、からかわれてるのかな?
ラーメンを茹でながら、ずっと王子の事をぐるぐる考えてしまう。