私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
類に抱きしめられた時はこんなに動揺しなかった。
「はぁ……」
そりゃ、自然とため息も漏れちゃう。
あんな鈍感王子……
私、好きになる人を間違えてた。
そんな事をぐるぐる考えながら、私は二人分のラーメンを作り終えた。
* * * *
「……美味しそう、いただきます」
「……いただきます」
二人で手をあわせ、少し遅めの昼食をとる。
気まずいのは……意識しちゃうのは、きっと私だけ。
それがなんだか悔しくて悲しい。
でも目の前で美味しそうにラーメンをすする王子をみていたら、まぁいいやって気持ちになった。
「葉月、何ニヤニヤしてるの?」
いきなり王子が顔をあげてそんな事を言った。
言われて、自分の頬が緩んでいることに気がつく。
「え、ニヤニヤしてました?」
「うん、してたよ」
そう言ってクスリとする王子。
今回ばかりは、ニヤニヤしてません!なんて否定できなかった。