私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


改まった声の王子に、改まって返事をする。


「俺、今日葉月が出ていったのかと思って焦った」


真顔でそんな事を言う王子。



「え……?」


確かに、手紙を見てなかった王子には、そう誤解されても仕方のなかった状況ではあった。


でも、焦ってくれたんだ……

ということは、私、必要とされてる……?


なんて。

何都合のいいように解釈してるんだろう、私。


「出ていったりなんか……しません」


どうしても少し弱気な声になってしまう。

私は、ずっとここにいたい。

王子のそばで、王子の家政婦としてここにいることができればそれだけでいい。



でも、王子は…………?

本当は私のこと、迷惑に思っていたりしないの……?


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