私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


そんな事をサラリと言ってのける王子。

今日行こっかって……

行ってくれるの!?

し、しかも今日!?


「じゃ、バイト終わりに行こう」

「え……ええ?はい。……?」


頭がついていけなくて唖然とする私をおいて、店へと姿を消す王子。

はい、なんて思わず返事をしてしまった。

ふと美咲さんの顔を見上げる。


───すごくニヤニヤしてるし。


「いやぁ~、私の方がドキドキしてきたわ~!良かったわね葉月ちゃん!』

「…………。」


うう…流されてる感、なきにしもあらず?





そんなこんなで、午後のバイトは全然集中できなかった。

王子とイルミネーション……

王子とイルミネーション……


「葉月ちゃんっ!?」


「へっ……?」


ぼうっとしていた私に声をかけてくれたのは美咲さんだった。

私を心配していたようなその表情は……やがてにやにやしたものに変わる。


「葉月ちゃんたら、イルミネーションデートのこと気にしてる?」

「で、デデデ、デートっ!?」


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