私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「別に、俺が笑ってたのは、子どもみたいにはしゃぐ葉月が可愛いと思ったからだよ?」
そう言って、王子が私の顔をのぞきこんで微笑む。
「…………っっ!」
いつもより近い王子とのその距離に、心臓が止まりそうになった。
「子どもみたいじゃないですし、可愛くもないですから!」
そう言って、王子をおいてイルミネーションのトンネルをズカズカ進んでいく。
照れ隠しもあって、歩き方がだいぶ雑になった。
一人でずかずか進んで、あれっと思う。
……ん、王子ついてきてない?