私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


だから────


だから、その前に。




「葉月ちゃん……本気なの……?」


「はい、こんな、いきなり急にごめんなさい……」


泣きながら項垂れる私をみて、
美咲さんは何かいいかけるように開いた口をゆっくりと閉じた。


ごめんなさい、と繰り返す私の頭を、美咲さんが優しく撫でる。



「葉月ちゃん……理由は、本当にそれだけ?ここをやめたい訳は、他にもあるんじゃないの?」



「……っ!」



そう言われて、否定できなかった。

思わず固まってしまったその時。




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