私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
そうやって王子と別れて……
店から五分くらい離れた所でタクシーを拾う。
とりあえず寒かったので、急いでタクシーに乗り込んだ。
「お嬢さん、どちらまで?」
「あの、柳ケ瀬ラーメンっていうラーメン屋までお願いします!」
お嬢さん、なんて言われて、もうそんな歳じゃないのになぁ、となんだか恥ずかしいような嬉しいような気持ちになる。
────王子って……この歳でそれはちょっと恥ずかしいかな?
と同時に、いつかの王子の言葉を思い出して、少し泣きそうになった。