私の王子様は、冷酷なんかじゃありません

そこまで言って、……しまったと思った。
無意識に、しゃべりすぎてしまったその口を、自分の右手で塞ぐ。


「お前……俺に何を言わせたい訳?」


そう言った類の顔は鬼のように怖かった。
うう……変なこと言ってごめんなさい!

そう項垂れる私。

そんな私の顎を、いきなり類が掴んだ。
そして、グイッと上をむけられる。



「大丈夫だ。もしお前がふられたら、戻ってきてもいい。また柳ケ瀬に住めばいい。

……でもそれには、告白してちゃんとふられてくる事が条件だ。

どうせ失敗したらもう会わなくてよくなるんだろ?

最後だと思うなら、正直になれよ」


そう言って、微笑む類。

告白してふられることが、ラーメン屋に戻るための条件───?


「な、なにそれ、私に失恋させたいの?」

「……阿呆か」



違う。本当はわかってる。

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