私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


類は、私に後悔をさせなくないんだよね?
だから、こんなことを言ってるんでしょう。

いつもそう。
類はいつもいつも、私の事を考えてくれて、私の為にいろんな事をしてくれた。

きっとこれも、その一つ。

そう思うと、自然と頬が緩んで、クスッと笑いが漏れた。


「何笑ってんだよ?」

「ううん、なんでもない。私頑張ってみるね!そしてふられたら、ちゃんと雇ってよね……!」


笑顔でそう言って、
私は類の車を出て、王子の部屋まで走り出た。







走り出した…………けれ、ども。


「う、うぅ~……やっぱりちょっと……」


部屋の前まできて、さっきまで吹っ飛んでいた羞恥心というか、そういうものが一気に復活する。

脈のない相手に想いを伝えるというのは、
結構緊張するものだ。

類ったら……すんごい条件与えてくれちゃって……




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